見守りの「駆けつけ」は誰が担うのか|100戸で、現地確認は2か月に1件

見守りには、物流と同じ「ラストワンマイル」の問題があります。異変の兆候があったとき、最後に現地へ確認に行くのは誰か、という問題です。

「駆けつけサービスがないと、見守りは難しい」。本当にそうでしょうか。

デナリ・コネレーションに、駆けつけはありません。

それでも、単身高齢者が暮らす約150戸に導入している株式会社アミックス様において、8か月の運用の中で、現地訪問が必要になったのは、100戸あたり平均して約2か月に1件でした。この運用実績をもとに、誰が最後の現地確認を担うのがよいかを考えます。

このコラムの要点

  • 見守りのラストワンマイル(最後の現地確認)は、管理会社が管理業務の一環として担うのが、いちばん実効的
  • 大切なポイントは、アラート確認のすべてを、管理担当者に背負わせないこと
  • デナリ・コネレーションは、「孤独死の発見遅れを防ぐ」ためのサービスであり、救命を目的にしたものではありません

日伸貿易株式会社(デナリ・コネレーション提供元) 代表取締役 竹本 光伸  公開:2026年10月5日

見守りの現地確認を担う賃貸管理会社の担当者が、アパートの共用廊下で入居者の住戸を確認している写真イメージ(アイキャッチ)

「駆けつけはないんですか。駆けつけがないと、やっぱり……」

デナリ・コネレーションをご紹介すると、こうしたお声をいただきます。確かに、電話などで状況が確認できないとき、最終的に現地へ誰かが行くことは必要です。問題は、それが誰なのか、そして何件あるのか、です。

まず数字:アラートの大半は、現地に届く前に対応が完了する

対象は、アミックス様の管理物件のうち、現在稼働している約150戸です。すべて単身高齢入居者に設置されています。2025年末から2026年8月までの実績を、100戸あたり・月平均に換算すると、次のとおりです。

項目100戸あたり・月平均
デナリが確認したアラート約28件
管理会社への確認依頼約0.9件
管理会社による現地訪問約0.5件
誤検知による現地対応0件

管理会社への確認依頼に至ったのは、アラート全体の約3%。現地訪問は、100戸でおおむね2か月に1件です。

この数字が示しているのは、「駆けつけがいらない」ということではありません。一次確認で絞り込めば、駆けつけが必要になる場面は、これだけ少なくなるということです。

※戸数あたりの数字は、導入戸数が増えた期間の実績を換算した参考値です。100戸を固定して運用したという意味ではなく、物件・入居者・運用条件によって変わります。約150戸・約8か月・1社の実績で、現地訪問の件数が少ないため、月0.5件という数字は少しの違いで変動します。「誤検知による現地対応」とは、誤った異常判定によって管理会社が現地対応を行ったケースを指します。

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ある1か月の中身:2026年9月のアラート42件

当社の運用記録では、単身高齢入居者約150戸について、2026年9月(1日〜30日)のアラートは42件、アラートが出た住戸は26戸でした。確認の結果は、次のとおりです。

項目9月の実績(約150戸)
デナリが確認したアラート42件
管理会社への確認依頼1件
管理会社による現地訪問0件
誤検知による現地対応0件

42件のアラートのうち41件は、デナリ・コネレーションの側で一次確認が完了しました。管理会社に引き継いだのは1件で、その1件も、管理会社が緊急連絡先に確認したところ、旅行中と判明し、現地訪問には至りませんでした。

アラートが発報された理由の大半は、外出、旅行、ご家族のもとへの滞在、窓を開けた生活で、「異変」ではないと確認・判断できました。また事前連絡・申告のあった不在が7件ありました。さらに、アラートは同じ住戸に繰り返し出ることも多く(上位4戸で17件)、その場合は過去の対応履歴と波形などから生活パターンが分かるため、判断は速くなります。

見守りの専任オペレーターが、アラート発生後のデータの推移をモニターで確認している写真イメージ

「駆けつけまで付けてほしい」の背後にある不安

「駆けつけまで付けてほしい」。その背景にあるのは、見守りを入れると仕事が増えそうだ、というイメージではないでしょうか。拒否感の理由は、主に二つです。

  • 常にアラートにさらされることへの拒否感:通知が来るたびに、確認しなければならない
  • 業務負担が増えることへの不安:どれくらい出動があるのか、想像もできない

「駆けつけ」があれば、アラートを見て、現地へ行って、連絡までしてくれる。全部任せられる。そう考えるのは、自然なことです。

駆けつけがあっても、なぜ最後は管理会社なのか

現場に駆け付けた結果、異臭がする。応答がない。そのとき、次に電話が鳴るのは誰でしょうか。

外部の確認者は、ポスト、電気メーター、室外機、呼びかけへの反応、匂い、物音など、現地で気づくところまでは行けます。しかし、持ち帰れるのは外側の情報までです。その先の、入居者の緊急連絡先や保証人への連絡、オーナーへの報告、物件の調整は、管理会社に戻ってきます。警備会社に鍵を預け、契約に基づいて室内確認まで任せられるなら有力な選択肢ですが、亡くなっていた場合でも、オーナーへの連絡や物件の調整は管理会社に残ります。どの体制でも、結果を受けて動くのは、結局、管理会社です。

賃貸アパートのエントランスに並ぶ郵便受けと、共用廊下の様子の写真イメージ

万一、室内で亡くなっている方を発見した場合には、警察による現場確認や、発見時の状況についての事情聴取への対応が必要になります。また、事件性がないと判断されるまで、部屋への立ち入りが制限される場合もあります。

同時に、オーナーへの報告や、親族・緊急連絡先への連絡も進めなければなりません。

外部の駆けつけ担当者や警備会社が発見した場合でも、その後の対応には管理会社が持つ情報が必要です。そのため、まず管理会社への連絡と情報の引継ぎを挟むことになります。

入居者や関係者、物件についての情報を持つ管理会社が最初から現地確認を行えば、警察への説明と関係者への連絡をつなげやすくなります。発見後の対応まで考えると、管理会社が現地確認を行うことには、実務上の合理性があります。

それなら、最初から管理会社が対応できないでしょうか。

管理会社には、確認に行く前から、これだけのものが手元にあります。

  • 入居者の年齢、職業、家族構成
  • 緊急連絡先、保証人、親族、本人から共有があれば友人や行政の窓口
  • 担当物件への日常的な出入りと、物件への理解
  • オーナーとのつながり
  • 同じ建物の入居者とのつながり
  • 鍵の保管を含めた管理契約
鍵の保管庫の前で、入居者の緊急連絡先に電話する賃貸管理会社の担当者の写真イメージ

異常が疑われる場合の最終確認は、もともと管理業務の一部だと考えることができます。「ついでにやる仕事」ではありません。ただし、どこまでを担うかは、契約ごとに合意して定めるもので、安否確認の義務を意味するものではありません。

デナリ・コネレーションは、不安をどう解消するのか

常にアラートにさらされなくてもいい。 デナリ・ボッツ(CO₂センサー)は、室内のCO₂濃度を5分ごとに取得し、24時間変化が確認できないときにアラートを発報します。専任のオペレーターが、グラフ、不在情報、過去の対応履歴を確認し、必要に応じて本人へ電話します。管理会社には、それでも確認できないものだけを、確認できたことと、まだ分からないことを整理して引き継ぎます。

専任オペレーターが入居者へ電話で状況を確認している写真イメージ

どれくらいの業務負担になるのか。 アミックス様の場合、100戸あたりに換算すると、管理会社に確認依頼が回ってくるのは月約0.9件、実際に現地へ行く必要があるのは平均して約2か月に1件でした。

駆けつけを外部に任せても、その結果を受けたオーナーへの連絡や物件の調整は、管理会社に残ります。必要な現地訪問を絞り込み、自社で対応できる体制があるなら、物件と入居者を知る管理会社が、現地確認からその後の対応まで担う方法は実効的だと考えています。

導入前に確認していただきたいこと

「駆けつけがあるか」だけでなく、管理会社に、どんな仕事が、どれだけ残るのかまで見ていただきたいと思います。

  • 通知の確認や電話は、どこまで任せられるか
  • どの段階で、管理会社へ連絡が来るか
  • そのとき誰が動き、担当者が不在ならどうつなぐか
  • 鍵の保管と入室の条件は、契約や取り決めでどうなっているか(自社の契約と関係法令に照らして確認)
  • 入居者様の不在予定を、誰がどう共有するか
賃貸管理会社の担当者が、見守りの役割分担と対応手順を打ち合わせている写真イメージ

自社の管理体制なら、どこまで対応できそうか。どの部分をデナリに任せられるか。まずは、その役割分担から、ご相談ください。

このサービスが守るもの、守らないもの

デナリ・コネレーションは、孤独死の発見遅れを防ぐための仕組みです。生活の異変にいち早く気づいて、救える命を救う仕組みではありません。

デナリ・ボッツは、人の呼吸に伴う室内のCO₂濃度の変化を捉え、その変化が24時間確認できない場合に通知します。急病や事故を直ちに検知して救命につなげることを目的とせず、孤独死の発見遅れを防ぐために運用しています。

居室のコンセントに設置されたCO₂見守りセンサー「デナリ・ボッツ」の写真イメージ

人感センサーや、ポット・照明などの使用状況を見る方式は、「動いていない」「動けない」を早い段階で捉えられ、まだ命が助かる可能性のある段階で、異変に気づける場合があります。その代わり、生活のゆらぎを拾うため、外出や旅行、就寝リズムの変化でも通知が上がりやすく、確認の手間が増えます。その点、CO₂は入居者の特定の行動に依存しないという特徴があります。

見守りは、何が優れているかではなく、何を守りたいかで選ぶものです。

  • 発見が遅れることを防ぎ、オーナーや近隣への影響を抑えたい → 管理会社の対応が必要な通知が少なく、無理なく続けられる運用
  • 生活の異変に早く気づき、救命の可能性を高めたい → 早期に異変を捉える方式や、緊急通報などとの組み合わせ

管理物件が遠方にあり簡単に訪問できない場合や、求める対応時間を確保できない場合は、室内確認まで契約で任せられる警備会社などのサービスも、検討する必要があるかもしれません。デナリ・コネレーションができないことは、次のとおりです。

  • 専任スタッフによる確認は、365日・9時〜18時です(18時以降のアラートは翌日に対応)。急病や事故への緊急出動は行いません
  • 生命に関わる緊急性が疑われる場合は、通常の確認手順を待たず、119番等につなぐ対応が必要です
  • 異変の発生から通知までには、時間がかかります
  • CO₂のデータだけで安否を確定することはできません。窓を開けた生活など、変化が乏しくなる生活パターンでは、アラートが繰り返し出ることがあり、波形と対応履歴から人が判断しています
  • 機器の電源が抜かれている間は、見守りが機能しません。データが届かない状態を検知し、電話で確認しますが、確認までには時間がかかります
  • すべての異変の検知や、確認時間を保証するものではありません

よくある質問

Q. 見守りに駆けつけサービスは必須ですか。

必須ではないと考えています。管理会社が動ける体制があるなら、一次確認と組み合わせて、管理会社が現地確認を担う方法もあります。とはいえ、遠方の物件や、対応時間を確保できない場合は、外部の訪問サービスとの併用が有効になる場合もあります。

Q. アラートが出るたびに、管理会社が対応するのですか。

いいえ。デナリの専任オペレーターがまず確認し、必要な案件だけを引き継ぎます。

Q. 急病や事故の際は、駆けつけてもらえますか。

デナリは駆けつけを行わず、急病や事故への緊急出動は行いません。緊急性が疑われる場合は、119番等への通報が必要です。

Q. 管理会社はどこまで対応するのですか?

管理会社が担う確認・連絡・現地対応の範囲は、管理受託契約や見守りサービスの取り決めに応じて定めます。導入前に、誰がどこまで対応するかを明確にしておくことが大切です。

出典・集計について

  • 日伸貿易株式会社「不動産管理のパイオニア・アミックス、単身高齢者の受け入れ拡大に向け、日伸貿易が提供する、見守りBPOサービス『デナリ・コネレーション』を正式導入」2026年9月8日|掲載ページ
  • 2026年9月の集計:日伸貿易株式会社の運用記録(2026年9月1日〜30日)に基づく。分類は記録のメモ欄から日伸貿易が行った
  • 国土交通省「賃貸住宅標準管理受託契約書」(管理業務の範囲は協議・合意して定める。鍵の保管に関する規定を参照)|PDF
  • 神奈川県警察「警察が取り扱うご遺体に関する調査・検視などの手続について」(関係者への事情聴取、現場確認について参照)|掲載ページ

高齢者入居を安全な収益源に変える、関係者全員が報われる経営戦略

「リスクがあるから貸さない」から、「仕組みがあるから受け入れる」へ。

「これからは高齢者の入居を受け入れなければ、空室が埋まらなくなる」。賃貸管理に携わる経営者なら、誰しもこの現実に気づいているはずです。

地域の人口構造が大きく変わり、単身高齢者の割合が増加するのに伴い、時代に合わせて「高齢者の入居を安全に受け入れられる態勢を今から整えること」こそが、これからの賃貸管理経営に問われている重要なテーマとなっています。

この問題に適切な対策を講じれば、関係者全員が利益を得られる道が開けます。

  • 入居者:拒否されず、安心して暮らせる住まい
  • オーナー:空室期間を短縮し、資産価値を守る備え
  • 管理会社:現場を守りながら、持続的な収益を得る仕組み
  • 行政:地域で暮らし続けられる住まいの選択肢

本記事では、現場が動けない構造的な理由を紐解きながら、現場・法務・金銭の3つの負担を整理し、高齢者受け入れを持続可能な経営戦略へと変える道筋を考えます。

※記事の最後に「貴社の高齢者受け入れ 現在地と5年後・10年後の経営シミュレーション」をご用意しています。地域と自社を比較する簡易版は、会社名や連絡先の入力なし・無料でご利用いただけます。

高齢者入居を安全な収益源に変える賃貸管理経営戦略のイメージ(アイキャッチ)

1. はじめに:誰もが知っている「臨界点」と、動けない現場

「単身高齢者の入居を受け入れなければ、今後の空室対策は立ち行かなくなる」。賃貸管理業界に関わる経営者や実務層であれば、誰もがこの事実に気づいています。我が国の単身高齢者世帯は急速に増加の一途をたどり、地方都市のみならず首都圏においても、若年層の奪い合いによる空室期間の長期化が明らかな傾向として表れています。

しかし、各種の調査データが示す現実は極めて厳しいものです。国土交通省の各種調査や関連団体の実態調査によれば、単身高齢者の入居に対して拒否感や不安を抱くオーナー・管理会社は約7割に達しています。頭では「高齢者を受け入れなければならない」と分かっていながら、実際の現場では「70歳以上は原則お断り」「保証人がいても難色を示される」という運用が今なお続いています。

事務所で管理物件の入居状況と空室データを確認する賃貸管理会社の担当者の写真イメージ

市場の需要と供給の間には、巨大な断絶が存在しています。この断絶は、単なる「オーナーの偏見」や「現場の意識不足」といった精神論で片付けられるものではありません。そこには、現在の賃貸管理業界が構造的に抱える深い課題と、現場が直面している切実なリアルが存在します。

2. なぜ高齢者受け入れは進まないのか——現場とオーナーが抱える3つの構造的リアル

なぜ、需要が存在すると分かっていながら、現場は一歩を踏み出せないのでしょうか。そこには3つの大きなハードルが存在します。

① オーナー説得の窮地と「丸腰の営業現場」

管理会社の担当者が高齢の入居希望者を受け入れようとするとき、最初に直面するのがオーナーへの説明責任です。「万が一、室内で孤独死が発生したら事故物件になるのではないか」「家賃下落や原状回復費用はどうするのか」というオーナーからの当然の問いに対し、現場担当者が手元に提示できる「安全の根拠」や「事故物件化を防ぐ運用の裏付け」は極めて乏しいのが実状です。根拠のない精神論でオーナーを説得することはできず、結果として「お断りする」という選択にならざるを得ません。

賃貸管理会社の担当者がオーナーに高齢者受け入れのリスクと対策を説明している打ち合わせの写真イメージ

② リスクとリターンの非対称性と「現場の防衛本能」

1戸の賃貸管理によって得られる管理手数料は、月額わずか数千円程度です。一方で、万が一室内で事故や死亡が発生した場合、現場担当者が背負う業務的・精神的負担は甚大です。警察の立ち会い、遺族対応、近隣からの苦情処理、特殊清掃の手配など、通常業務を大幅に圧迫する泥臭い対応が重くのしかかります。どれだけ管理戸数を増やしても、事故が1件起きるだけでも現場を大きく圧迫しかねません。現場担当者が高齢者受け入れに慎重になるのは、サボりや事なかれ主義ではなく、自身の業務を守るための「合理的な防衛本能」と言えます。

③ 孤独死そのものよりも怖い「グレーゾーンの対応」

現場が真に恐怖を感じているのは、明確な「死」そのものよりも、むしろ「連絡が取れない」「入院した」「部屋で倒れているかもしれない」といったグレーゾーンの状態です。「アラートが出たが電話に出ない」「休日の夜間に異変の可能性が浮上した」といった際、誰が現地へ行き、どの権限で室内を確認するのか。明確な運用ルールと対応主体が存在しないことが、現場を疲弊させる最大の要因となっています。

3. 「死の恐怖」ではなく「運用の不在」が市場を止めている

オーナーや管理会社が恐れているものの本質を分解すると、それは「入居者が高齢であること」や「人が亡くなること」そのものではありません。

国土交通省の「人の死の告知に関するガイドライン」においても、自然死や日常の不慮の死については、原則として告知義務の対象外とされています。しかし、発見が遅れて特殊清掃や大規模リフォームが必要となった場合には告知が必要となる場合があり、物件の資産価値に大きな悪影響を及ぼします。※1

つまり、分水嶺は「死亡したかどうか」ではなく、「異変から発見までにどれだけの時間がかかったか」にあります。リスクの正体は「人間の死」ではなく、異変を捉え、確認し、事後処理を行う「運用の不在」に他なりません。

懸念されるリスクリスクの本質真の原因(何が不足しているか)
事故物件化・家賃下落発見が大幅に遅れることによる室内の損壊早期発見(異変検知と早期確認)の仕組みの不在
室内の長期ロック・残置物相続人捜索や契約解除手続きの停滞死後事務委任契約・法的枠組みの不備
原状回復・清掃費用の負担突発的な経済的損害の発生孤独死保険・費用補償の未組み込み

4. 「個人の頑張り」から「組織の仕組み」へ——現場に与えるべき3つの武器

この課題を解決するために「もっと高齢者に優しくしよう」「社会貢献のためにリスクを取ろう」と思うだけでは、状況は改善しません。必要なのは、現場担当者が丸腰で戦うのをやめ、組織として「安全に貸せる仕組み(インフラ)」を構築することです。

高齢者の受け入れを進めるには、「現場の負担」「法的な手続きの負担」「金銭的な負担」の3つに対処するインフラを、パッケージとして現場に提供する必要があります。

見守りの一次対応を担う専任スタッフのオフィスと、管理会社の担当者が本来業務に集中できる様子の写真イメージ

① 現場負担に対処する:安否確認と初期対応の外部化(BPO)

日常のアラート監視や一次電話確認を、専門組織へ委託する。これにより、担当者が一人で通知や確認を抱え込む負担を減らします。

② 法的負担に対処する:死後事務委任の整備

万が一の際にも、相続人捜索で部屋が長期間ロックされないよう、事前に死後事務委任(賃貸借契約の解除および残置物処理に関するモデル契約条項を組み込んだもの)を整備しておきます。※2

③ 金銭負担に対処する:孤独死保険等の導入

原状回復費用、遺品整理費用、家賃損失補償を保険によって担保し、オーナーの経済的損害を補償対象・限度額の範囲で軽減します。

5. 居住サポート住宅の開始と、行政・地域福祉との連携

制度的な観点からも、追い風は強まっています。2025年10月よりスタートした「居住サポート住宅」制度では、日常の安否確認や訪問による見守り、福祉サービスへのつなぎ体制を備えた賃貸住宅の居住安定援助計画を、福祉事務所設置自治体等が認定する仕組みが整いました。※3

地域包括支援や民生委員と連携し、高齢の入居者が安心して暮らす賃貸住宅の地域ネットワークの写真イメージ

これからの賃貸管理会社に求められるのは、単に「部屋を貸す」ことにとどまらず、地域福祉、社会福祉協議会、民生委員、居住支援法人と連携し、入居者の生活基盤を支えるネットワークのハブとなることです。

見守りシステムを通じて平時から入居者の生活リズムや支援状況を把握しておくことは、緊急時のスムーズな外部連携を可能にし、行政やオーナーからも選ばれる強固な管理ブランドの構築へとつながります。

6. 収益シミュレーション:今の空室を埋め、将来の稼働と収益を守る

高齢者を排除することは、一見するとリスクを回避しているように見えますが、実際には「空室の長期化と賃料下落」という確実な経営リスクを抱え込む結果となります。一方で、高齢者を受け入れるためには、見守りや保険、契約上の備えなどに費用がかかります。経営判断では、「受け入れるための費用」と「空室を短縮することで得られる収入」を比較することが大切です。

家賃7万円の空室1戸について、受け入れ対象を広げることで、仮に入居が3か月早まった場合を見てみましょう。

試算:空室が3か月早く埋まった場合(家賃7万円・比較期間12か月)

項目従来の募集で6か月後に入居対策を整え、高齢者も対象にして3か月後に入居
空室期間6か月3か月
比較期間内の家賃収入420,000円630,000円
管理料(5%)21,000円31,500円
高齢者受け入れの対策費用0円27,000円
オーナーの差引収入399,000円571,500円
オーナーの収入増加額—+172,500円
管理会社の管理料収入増加額—+10,500円
家賃収入は「月額家賃×入居月数」、対策費用は「月額3,000円×9か月」で計算。管理料率と対策費用は説明用の仮定です。募集費・修繕費・税金・初期契約費用等は含めていません。実際の成約時期や収益を保証するものではありません。

この例では、対策費用をオーナーが全額負担しても、最初の12か月で手元に残る収入は17万2,500円増えます。管理会社にも、1戸当たり1万500円の管理料増収が生まれます。

賃貸オーナーと管理会社の担当者が家賃収入と対策費用の収支シミュレーションを一緒に確認している写真イメージ

ただし、初年度の増収と長期の費用負担は分けて考える

空室短縮による増収は入居が早まることで生まれますが、見守りなどの月額費用は入居中ずっと続きます。月3,000円なら、入居から5年間で18万円、10年間で36万円です。初年度の収支改善だけを理由に、長期にわたる全額負担まで有利だとは判断できません。そこで、導入時には継続費用の分担まで決めておきます。

  • オーナーが負担する:空室対策と、資産の保全に必要な費用として位置づける。
  • 入居者が負担する:「安心サポート費」として合意のうえで負担してもらう。
  • 双方で分担する:月額費用を折半するなど、双方のメリットを踏まえて設計する。

すべての費用を一律に扱う必要はありません。各サービスの契約者・補償対象・支払条件を確認し、入居者にとっても家賃と合わせて無理なく支払える金額にすることが重要です。管理会社が費用を負担する場合も、管理料の増収だけで賄えるかを確認します。

本題は、高齢者の割合の変化に備えること

ただし、高齢者受け入れの経営的な意味は、「今ある空室が何か月早く埋まるか」だけではありません。もう一つ考えるべきなのは、5年後、10年後も、現在の入居戸数と収入を維持できるかという問題です。

地域の賃貸住宅に暮らす人たちの構成が変われば、管理会社が向き合う入居需要も変わります。単身高齢者の割合が高まる中、その層を受け入れないままでは、募集対象となる世帯の範囲が狭くなっていきます。他の層の獲得で補えなければ、入居戸数が減り、オーナーの家賃収入も、管理会社の管理料収入も減っていきます。

まずは、県内の民営借家に暮らす世帯のうち、65歳以上の単身世帯が占める割合を、自社の入居中の戸数に当てはめてみる。その戸数と、実際の受け入れ戸数を比較すれば、地域の入居実態に対する自社の現在地が見えてきます。さらに、地域の割合が5年後、10年後に変化した場合、今の入居戸数を維持するには、どの程度の高齢者受け入れを見込んでおくかを考えることができます。

高齢者を受け入れる態勢を今から整えることは、目の前の空室対策であると同時に、将来の稼働と収益を守るための備えです。そして、その態勢を持つことが、入居者とオーナーに選ばれる理由となり、新たな入居や管理受託につながる可能性があります。

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7. デナリ・コネレーションが提示する「見守りBPO」という解決策

私たちデナリ・コネレーションが目指しているのは、入居者にはプライバシーの保たれた安心な暮らしを提供しつつ、賃貸管理会社には無理な負担をかけない、持続可能な見守り体制を構築することです。

見守りを導入した後に、担当者がいつ出るか分からないアラートに常に気を張り、そのすべてを確認しなければならないという運用では、現場の負担が大きくなり、疲弊につながります。デナリ・コネレーションは、以下の組み合わせにより、この構造的課題を解決します。

賃貸住宅のコンセントに設置されたCO₂見守りセンサー「デナリ・ボッツ」と、専任スタッフによる電話確認の写真イメージ

高精度CO₂センサー「デナリ・ボッツ」

カメラやマイクを使わず、呼吸に由来する室内のCO₂濃度の変化から人の「存在」を把握します。設置環境や生活習慣に応じた波形を捉え、判断に疑義の生じにくい情報を提供します。

専任スタッフによる電話確認代行(見守りBPO)

アラート発報時、専任スタッフが対応時間内にデータを確認し、本人への電話確認などを通して本当に対応が必要なものだけに絞り込むことにより、現場担当者の業務負担を減らします。

確認結果の積層と共有

本人とのやり取りや不在事情を記録・蓄積し、次の見守りや関係機関との連携に活かす運用フローを提供します。

機器(ハード)と人による確認代行(BPO)が一体となることで、現場担当者は「通知を常に気にかけるストレス」から解放され、真に対応が必要なケースにのみ集中できるようになります。

8. おわりに:経営者が果たすべき決断

孤独死対策・高齢者受け入れの問題は、現場の担当者の努力や個人の思いやりに依存している限り、永遠に解決しません。

「高齢者を受け入れろ」と現場に命じるのではなく、「孤独死が起きても、早期発見と事後処理につなげる仕組みを整えた。だから安心してオーナーに提案してほしい」と言える“武器”を用意することこそが、経営層に求められる真の決断です。

高齢者をリスクとして遠ざける時代は終わりました。適切なテクノロジーと外部BPOの運用力を組み合わせ、安全に受け入れるインフラを整えること。それこそが、社会課題を解決しつつ、他社との圧倒的な差別化を図り、持続可能な賃貸管理経営につなげる、ひとつの具体的な道筋になります。


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出典・参考

※1 国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」(2021年10月)|発表ページ

※2 国土交通省・法務省「残置物の処理等に関するモデル契約条項」|発表ページ

※3 国土交通省 報道発表「居住サポート住宅情報提供システムの公開~10月1日より認定制度が始まります!」(改正住宅セーフティネット法・居住サポート住宅認定制度、2025年10月施行)|発表ページ

孤独死対策とは?賃貸管理会社・オーナーが行うべき8つの実務

「孤独死が起きたら、早期発見できるだろうか」。賃貸住宅の孤独死対策を考えるとき、まず気になるのは、このことではないでしょうか。

これから見守り機器の導入を検討する方にとっても、すでに導入している方にとっても、実際に早期発見につながるかは大きな課題です。

賃貸物件における孤独死対策で大切なのは、目的に合った見守り機器を選び、異変の兆候に早く気づき、本人の状況を確認できる運用体制を整えることです。その仕組みを無理なく続けることが、発見の遅れを防ぎ、物件への損傷や管理会社・オーナーの負担をできるだけ小さくすることにつながります。

この記事では、賃貸管理会社・不動産会社・賃貸オーナーに向けて、孤独死・孤立死対策を8つの実務に分けて説明します。見守り方式の選び方から、本人に連絡がつかないときの確認、孤独死保険や死後事務委任、残置物への備えまで。高齢者の受け入れを空室対策につなげたい方も、今の見守りを見直したい方も、自社の物件に当てはめながら読んでみてください。

※記事の最後に「賃貸住宅の孤独死対策 8つの実務チェックシート」(無料・A4 1枚)をご用意しています。

孤独死対策で、まず考えたい「発見までの時間」

「孤独死」と「孤立死」は、どう違う?

孤独死対策を調べていると、「孤立死」という言葉も出てきます。どちらも、一人で亡くなり、発見が遅れる問題を考えるときに使われますが、資料によって言葉の意味や数え方が異なります。

内閣府のワーキンググループでは、「孤立死」という言葉を使い、看取られずに亡くなってから一定期間後に発見される死亡を捉えようとしています。ただ、生前に周囲とのつながりがどれほどあったかは、すべてのケースで分かるわけではありません。※1

この記事で扱うのは、賃貸住宅で孤独死の発見が遅れないようにするための対策です。「孤立死対策」や「一人暮らしの安否確認」を探している方にも共通する内容です。

自分たちの管理物件なら、何日後に気づけるだろう

賃貸管理会社の担当者が事務所で管理物件の入居者台帳を確認している写真イメージ

警察庁の資料では、2025年に警察が取り扱った遺体のうち、自宅で死亡した一人暮らしの人は76,941人でした。このうち17,860人は65歳未満です。高齢者だけの問題として考えることはできません。※2

この数字は、賃貸住宅だけの件数ではありません。内閣府は同じ資料を基に、死後8日以上を目安とした2025年の孤立死者数を22,222人と推計しています。8日は統計を作るための目安であって、「8日以内ならよい」という意味ではありません。※3

賃貸住宅のデータもあります。日本少額短期保険協会の「第10回 孤独死現状レポート」では、保険金支払データに基づく発見までの日数は平均19日でした。※4

これらの数字を見て考えたいのは、「自分たちの管理物件で同じことが起きたら、何日後に気づけるだろうか」ということです。

特段の理由がなければ、入居者としばらく話す機会がないこともあるかもしれません。普段の管理業務の中で気づけることと、見守りを加えることで気づけること。その違いを考えるところから始めます。

「早期発見」を、具体的な時間の目標にする

「できるだけ早く気づく」を実現するには、いつアラートを出し、その後いつまでに確認するか、その目標を決めておくことが大切です。

デナリ・コネレーションでは、CO₂濃度推移に変化が確認できなくなってから48時間以内の状況確認を目標に掲げています。センサーによる通知、専任スタッフによる電話確認、必要な場合の管理会社や関係者による現地確認まで、それぞれの役割をつなぐことで、「早期発見」を目指します。

「早く気づく」ことが、賃貸物件を守ることにつながる

負担は、清掃費用だけではない

発見が遅れ、室内の損傷が大きくなると、清掃や消臭だけでなく、床材や内装の交換が必要になることもあります。その間は次の入居者を募集しにくくなり、家賃収入にも影響します。

実際に、どのくらいの費用が生じているのでしょうか。日本少額短期保険協会の「第10回 孤独死現状レポート」では、孤独死保険の支払い実績に基づく平均損害額は、原状回復費用が約49万円、遺品整理・残置物処理費用が約29万円でした。また、家賃保証の平均支払額は約34万円となっています。

これはあくまで平均で、原状回復費用は最大約756万円、遺品整理・残置物処理費用は最大約425万円の事例も報告されています。賃貸経営にとって、大きな負担になり得る金額です。※4

こうした費用への備えとして、原状回復や遺品整理、家賃損失などを対象とする保険があります。※5

ただ、管理会社の仕事は、工事の手配だけでは終わりません。家族や関係者への連絡、家財の取り扱い、契約の整理、オーナーへの説明、再募集の準備が続きます。費用を保険で補えても、こうした対応の負担は残ります。

早期発見を目指すのは、物件への損傷と、こうした負担の広がりをできるだけ小さくするためです。発見が遅れた現場では、確認に当たった担当者が、ご遺体の腐敗が進んだ状況を目にすることもあります。物件の資産価値を守るだけでなく、現場に向き合う担当者の精神的負担を軽減し、亡くなられた入居者の尊厳を守ることも、早期発見を目指す大切な理由です。

なお、室内の状態は季節や環境によって変わります。「何時間以内なら絶対に損傷しない」と一律には決められません。※1

孤独死が起きると、必ず事故物件になる?

人の死があった物件では、借主が住むことに心理的な抵抗を感じる「心理的瑕疵」と、契約前にその事実を伝える「告知義務」が論点になります。告知の判断は、次のように整理します。

「孤独死があったら、必ず次の入居者に告知しなければならない」と思われることがあります。しかし、宅地建物取引業者向けの国土交通省のガイドラインでは、自然死や日常生活の中での不慮の死は、原則として告知しなくてもよいとされています。

一方、発見が遅れて特殊清掃や大規模リフォームが行われた場合は、自然死であっても告知の対象になります。賃貸借取引では、こうした死亡の発覚からおおむね3年が経過すると、特段の事情がない限り、原則として告知しなくてもよいとされています。

ただし、借主から質問された場合や、社会的な影響が特に大きい場合などには例外があります。「孤独死だから必ず告知」「早く発見したから必ず告知不要」と決めず、亡くなった原因や室内の状態などを基に判断します。

個別の案件は、宅建業者や弁護士などに確認してください。※6

管理会社・オーナーが行うべき8つの実務

では、実際に何から始めればよいのでしょうか。目的を決め、連絡先を整え、機器を選び、導入後も使い続ける。その流れを8つに分けて見ていきます。

賃貸管理会社の担当者が高齢の入居者に見守りの仕組みと連絡先について説明している写真イメージ

実務1:見守りの目的と対象住戸を決める

最初に、何のために見守りを導入するのかを決めます。「孤独死を早期発見したい」「本人が助けを求めたときに駆けつけたい」「転倒したことに気づきたい」「離れて暮らす家族の生活状況を知りたい」では、必要な機能や、対応までに求められる時間が異なります。

この記事で中心に据える目的は、賃貸住宅での孤独死の発見遅れを防ぎ、早期発見につなげることです。

もしそれ以外に、救急通報や介護、訪問による支援も必要であれば、それらに対応するサービスを組み合わせます。

次に、どのような入居者に見守りが必要かを考えます。確認したいのは、一人暮らしかどうかに加え、周囲とのつながりがあるか、日々の生活で必要な支援やサポートを受けているかです。

普段から連絡を取り合う家族や友人がいるか、近くに様子を見に行ける人がいるか、健康状態や仕事の有無、生活保護を含む福祉制度や支援サービスの利用状況も参考になります。また、固定電話だけでなく、外出先でも携帯電話で本人と連絡が取れるかも大切な要素です。

私生活を細かく調べることが目的ではありません。何のために情報が必要かを本人に説明し、必要な同意を得たうえで、見守りに必要な範囲だけを確認します。

管理会社内では、まず次の2点を整理します。

  • ・目的:何のために見守りを導入するのか。
  • ・対象者:どのような入居者に見守りが必要なのか。

この2点を整理してから、導入する住戸と、目的に合う機器やサービスを選びます。

実務2:連絡先・同意・役割分担を整える

「見守りのアラートが出ているが、入居者本人に連絡がつかないとき」に備えて、本人の状況を知っている人や、確認に協力してもらえる人と、あらかじめつながっておくことが大切です。

家族や友人のほか、本人と関わりのある社会福祉協議会、民生委員、居住支援法人、行政の担当者などが連絡先の候補になります。また、同じアパートの入居者から、最近の様子を聞けることもあります。誰に連絡できるか、どのような協力をお願いできるかを確認しておきます。

連絡先や周囲との関係は変わります。契約更新などの機会に本人の状況をお聞きし、必要に応じて情報を更新します。関係者との連絡先をそろえるだけでなく、入居者本人とのつながりを保つことも大切です。

なお、緊急連絡先への登録だけで、家賃の支払いや死後事務まで引き受けたことにはなりません。

保証人や死後事務の受任者とは区別し、協力してもらえる範囲を確認します。※7

入居者には、本人に連絡がつかない場合に誰へ確認するのか、その際にどのような情報を共有するのかを説明し、あらかじめ同意を得ておきます。共有する情報は、状況確認に必要な範囲に限ります。

見守り機器から得られる情報も、部屋番号や入居者情報と結び付くことで、個人情報に当たる場合があります。カメラやマイクを使わない場合も、個人情報への配慮は必要です。見守りサービスの提供者は、何のために情報を使うか、誰が見られるか、いつまで保存するかを決め、業務を委託する場合は、委託先でも適切に扱われるよう管理します。※8

実務3:目的に合う見守りの方式を選ぶ

見守りセンサーや見守りサービスには、さまざまな種類があります。家電を使ったことを知らせるもの、身体の変化を捉えるもの、本人からの通報を受けて駆けつけるものなど、できることも異なります。これらすべてを「見守り」とひとくくりにすると、それぞれが何をしてくれるのか、違いが分かりにくくなります。

まずは、何のために使いたいのかで分けてみましょう。

主な目的方式・サービスの例仕組み
孤独死の早期発見CO₂センサーを使った見守り「呼吸」に由来する室内のCO₂濃度の変化を、人の「存在」を捉える手掛かりにする。一定時間変化が確認できない状態から本人の状況確認につなげる
生活の変化に気づく人感センサー、Wi-Fiセンシング、ポット、ライト、冷蔵庫の開閉、電力・水道のスマートメーター、スマホなど人の動きや家電・水道・スマホなどの利用状況から、普段との違いを捉える
体調や身体の変化に気づくバイタルセンサー、転倒センサー、ミリ波センサーなど心拍・呼吸・体温などの変化や、転倒を捉える。測れる内容は製品によって異なる
本人から助けを求める通報発信型:緊急ボタン、ペンダントなど本人が操作して、家族やサービス提供者へ通報する
コミュニケーションを取る会話ロボット、通話機能付きカメラなど会話や映像を通じて、本人とやり取りする
現地へ駆けつける駆けつけ型:警備会社など通報を受け、スタッフが現地へ向かう

同じ方式が、複数の目的に使われることもあります。生活の変化を知らせる機器も、その後の確認と組み合わせれば、孤独死の早期発見に役立てられます。大切なのは、自分たちの目的に合う機能と対応があるかです。

方式の説明は、デナリのほか、各社の公開情報を参照しています。※9 ※10 ※11 ※12 ※13 ※14

使う人の暮らしに合っているかも大切

例えば、本人がボタンを押す方式なら、助けが必要なときに手が届き、操作できることが必要になります。腕時計型の端末なら、身に着け続けられるか、充電を続けられるかも選ぶポイントです。転倒検知機能には、検知できない転倒や、別の動きを転倒と判断する場合もあります。※13

カメラは様子を映像で確認できますが、撮影場所や、本人がどう感じるかを考慮する必要があります。人感センサーや家電の利用を見守る方式では、設置場所や本人の生活習慣が合っているかを確認します。

機能の多さだけで決めず、その人の暮らしの中で、無理なく使い続けられるかを考えます。

賃貸住宅のコンセントに設置されたCO₂見守りセンサー「デナリ・ボッツ」と、室内でくつろぐ高齢の入居者の写真イメージ

CO₂を使うと、何が違うのか

人は呼吸によってCO₂(二酸化炭素)を排出します。デナリは、その呼吸に由来する室内のCO₂濃度の変化に着目し、人の「存在」を捉える手掛かりとして使います。本人にボタンを押してもらったり、特定の家電を使ってもらったりといった、特定の操作や行動を前提とはしません。カメラやマイクは使わず、映像や音声も取得しません。

CO₂濃度の推移はグラフで確認できるので、「いつから変化が見られないか」「その後に変化が戻ったか」をたどれます。アラートの根拠をデータで確かめられ、なぜ通知されたのかという点で疑義が生じにくいことも特長です。

一方、室内のCO₂濃度には、換気や部屋の広さ、設置場所なども影響します。そのため、一つの数値だけで在室・不在や生死を決めることはできません。過去からのグラフや、不在の予定などと合わせて見る必要があります。※15

実務4:アラートが出た後、どう確認するかを決める

アラートが届いても、本人が外出しているだけかもしれません。また、「データに変化がない」のか、「電源や通信の問題でデータが届いていない」のかによっても、確認する内容は変わります。

アラートは、本人の状況を確認するためのきっかけです。

まず、どの住戸の通知か、どのようなデータが出ているか、不在の予定が届いていないかを確認します。必要に応じて本人へ電話し、つながらなければ、家族や緊急連絡先など、あらかじめ決めた順序で確認を進めます。それでも状況が分からない場合に、誰が現地確認を行うかも決めておきます。現地確認で部屋に入る場合の手順も、事前に整理しておきます。合鍵を持っているだけで自由に入室できるわけではないため、契約や状況に応じた対応を確認しておきましょう。

次の確認につながる記録を残す

確認した内容は記録に残しましょう。「連絡済み」のひとことで終えず、「いつ、誰に連絡し、何が分かったか(分からなかったか)」に加え、未確認の場合は「次に誰が、いつまでに確認するか」も残します。担当者が変わっても対応が止まらないようにします。

専任スタッフが管理画面のCO₂濃度グラフを確認しながら入居者へ電話で状況を確認している写真イメージ

実務5:確認の仕事を、誰が担うかを決める

アラートは、いつ出るか分かりません。

通常の管理業務を行いながらも、アラートを見逃さないように気を配り、出たらすぐに確認に取りかかれるようにしておく。その状態を日々保つことは、担当者の負担になります。

担当者や代わりに対応する人を決めるだけでなく、アラートへの対応体制を、無理なく維持できるかを考えておきましょう。

日々の確認を外部に任せるという選択肢

その負担を軽減する選択肢が、デナリ・コネレーションが提供する「見守りBPO」です。BPOとは、業務の一部を外部に任せること。デナリ・コネレーションでは、365日、午前9時から午後6時まで、専任スタッフが通知に対応し、必要に応じて本人や家族へ電話します。本人と連絡がついた場合も、つかなかった場合も、管理会社へその結果を共有します。管理会社はその報告を受け、必要な対応を行います。

通知に気を配るところから、データ確認や電話までを、管理担当者だけで抱え続けなくてよい体制をつくる「見守りBPO」です。

任せられる範囲を確かめる

外部に任せる場合は、どの時間帯に、どこまで対応してもらえるかを確認しましょう。

  • ・対応する曜日・時間帯と、時間外の通知の扱い
  • ・本人につながらない場合の連絡先と手順
  • ・確認結果の報告方法とタイミング
  • ・現地確認の担当と追加料金

連絡先の更新や報告を受けた後の対応など、管理会社が担う仕事も整理しておきます。また、委託先で個人情報が適切に扱われているかを確認することも必要です。※8

オーナーが保険の約款など2枚の書類を確認している写真イメージ

実務6:孤独死保険で、どの費用を補えるか確認する

「孤独死保険に入っているから大丈夫」と考える前に、その保険で何を補えるかを確認しておきましょう。見守りは、早く気づき、本人の状況を確認するためのものです。保険は、万一のときの費用に備えるもの。役割が違うので、組み合わせて考えます。

「孤独死保険」は、入居者の死亡に伴う費用や損失に備える保険の通称です。家主・管理会社が加入するものと、入居者の家財保険に特約として付けるものなどがあり、誰のどの損失を補う契約かを確かめます。※4

そのうえで、原状回復、特殊清掃や消臭、遺品整理、家賃損失などのうち、何が対象になるのかを確認します。補償される期間や上限金額、免責金額(自己負担額)、対象外となるケースも商品ごとに異なります。※5

また、家族がいても、相続放棄によって入居者の権利や義務を引き継がない場合があります。「家族がいるから費用を負担してもらえる」とは限らないことも踏まえ、費用への備えを考えておく必要があります。※16

家賃保証と孤独死に伴う費用補償も、同じものとは限りません。相続放棄があった場合の対応も含め、契約書や重要事項説明書を見ながら、保険会社や保証会社に確認してください。

「誰が保険会社に連絡するのか」「請求にどの書類が必要か」まで分かっていると、実際に必要になったときに動きやすくなります。

実務7:死後事務委任で、誰に何を任せるか決めておく

入居者が亡くなった後には、賃貸借契約の終了や、部屋に残された家財などの「残置物」を処理する「死後事務」が必要になります。通常、賃借権や家財の所有権は相続人に引き継がれるため、管理会社やオーナーが、すぐに契約を終わらせたり、勝手に家財を処分したりできるわけではありません。※7

こうした手続きを、本人が生前に第三者へ依頼し、死後に行ってもらう契約が「死後事務委任契約」です。国土交通省と法務省は、賃貸借契約の解除に関する事務と、残置物の処理を任せるためのモデル契約条項を用意しています。

任せる相手を決める際は、契約の解除と家財の処理の両方を任せるのか、誰に渡す物を指定しておくか、費用をどう用意するかも整理します。必要な準備を、モデル契約の利用も含めて専門家に相談しておきましょう。※17

緊急連絡先、保証人、相続人、死後事務を任された人は、それぞれ役割が異なります。「連絡先を登録しているから、その人が全部やってくれる」と考えず、誰が何を引き受けるのかを確認しておくことが大切です。

実務8:見守りを形骸化させないために

導入後は、見守りが計画どおりに機能しているかを定期的に確かめます。できれば毎月、アラートの件数と確認結果を振り返りましょう。整理したいのは、例えば次のようなことです。

  • ・データが届かないままの機器はないか。
  • ・未確認のアラートはないか。あるとしたら、次の対応は決まっているか。
  • ・アラートが出てから確認までに、どれくらいの時間がかかったか。
  • ・担当者に、無理な負担がかかっていないか。

確認に時間がかかる住戸や、対応が止まりやすい状況があれば、手順や役割分担を見直します。

見守りの価値は、運用の積み重ねから生まれる

ひとつ一つのアラートを、単なる確認で終わらせず、次の見守りに生かしましょう。繰り返しアラートが出る方は、よく外出する、お元気で活動的な方かもしれません。一方で、ほとんど出ない方は、生活状況によっては、より気にかける必要がある方なのかもしれません。

入居者の暮らし方も、センサーが置かれている環境も、一戸一戸異なります。「本人が元気に外出していた」と分かった確認も、次にアラートが出たときの参考になります。そのため、記録は対応完了の証拠として残すだけでなく、過去のデータと確認結果の履歴を、次の確認に生かせるようにしておくことが大切です。

例えば、約150戸にデナリ・コネレーションを導入している賃貸管理会社の株式会社アミックス様では、すべてのアラートについて、その後の確認結果まで追跡しています。件数や傾向に加え、どの入居者にアラートが多く、どの入居者にはほとんど出ていないかも把握されています。

大切なのは、見守りをきちんと運用し、機能させ続けることです。目的に合ったセンシングを用い、アラートを確認した結果を積み重ね、入居者への理解を深めていく。そして、この積み重ねを、担当者に無理な負担をかけずに続けられる体制をつくること。これが、孤独死の早期発見につながります。

【無料チェックシート】賃貸住宅の孤独死対策 8つの実務チェックシート(PDF・A4 1枚)
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晴れた日の中規模賃貸マンションと、買い物袋を提げて帰宅する高齢の入居者の写真イメージ

デナリ・コネレーションについて

デナリ・コネレーションは、賃貸住宅における孤独死の発見遅れを防ぐための見守りBPOサービスです。CO₂センサーによる見守りと、専任スタッフによる確認・電話対応を組み合わせ、管理会社の負担を抑えながら、見守りを継続できる体制を支えます。

初期費用なし、コンセントに差し込むだけ、1台から導入できます。現在の見守り体制の見直しや、少数の住戸からの導入についてもご相談いただけます。

【無料チェックシート】自社の孤独死対策を、A4・1枚でセルフチェック

本記事で解説した「8つの実務」を、自社の管理物件でどこまで実行できているか確認できる「賃貸住宅の孤独死対策 8つの実務チェックシート(PDF)」をご用意しました。管理物件の状況や、発見までに目指す時間を書き込みながら、今できていることと、見直したいことを整理できます。社内での現状整理や、オーナー様への提案準備、見守り体制の見直しにご活用ください。

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出典一覧

※1 内閣府 孤独・孤立対策推進本部「孤独死・孤立死」ワーキンググループ報告書(令和7年4月)|発表ページ

※2 警察庁「警察取扱死体のうち、自宅において死亡した一人暮らしの者(令和7年)」(令和8年4月)|発表ページ

※3 内閣府「令和7年孤立死者数の推計について」(令和8年4月14日)|発表ページ

※4 日本少額短期保険協会 孤独死対策委員会「第10回 孤独死現状レポート」(2025年12月)|発表ページ

※5 あいおいニッセイ同和損保「タフ・すまいの保険 オプション特約(家主費用特約)」|発表ページ

※6 国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」(2021年10月)|発表ページ

※7 国土交通省住宅局「単身入居者受入れガイド」|発表ページ

※8 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」|発表ページ

※9 サイチ「Wi-Fiセンシング」(公開情報)|発表ページ

※10 関西電力「はぴeまもるくん」(公開情報)|発表ページ

※11 愛知時計電機 ニュースリリース(水道スマートメーターを活用した見守り)|発表ページ

※12 丸文「ミリ波レーダーによる非接触バイタルセンシングの基礎」|発表ページ

※13 Apple「Apple Watch の転倒検出機能を使う」|発表ページ

※14 セコム「親の見守りプラン」(公開情報)|発表ページ

※15 NIST, A. Persily “Development of an Indoor Carbon Dioxide Metric”|発表ページ

※16 裁判所「相続の放棄の申述」|発表ページ

※17 国土交通省・法務省「残置物の処理等に関するモデル契約条項」|発表ページ